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アンケート調査からみる発達障害者が誤解を受けるメカニズム
―すれ違い再考のための場作りを展望する―

相良真央(NPO法人凸凹ライフデザイン/宮崎青年・成人発達障害当事者会ShiKiBu)
山田 裕一(立命館大学生存学研究所客員研究員/発達協働センターよりみちセンター長)
須藤 雫(熊本県発達障害当事者会Little bit共同代表理事)


報告キーワード:発達障害,当事者会,当事者活動,コミュニケーション,居場所

1.はじめに―課題意識
 2020年初めから続いている新型コロナウイルスの影響に関し、調査等を私たち障害当事者団体も多方面から依頼される機会があった。発達障害に対する関心を感じた一方、「発達障害者が被っている影響をどう伝えれば、発達障害者の困難の伝えにくさ・伝わりにくさを他者に伝えられるか」という、以前から当事者会でも度々話題になっていたテーマについて再考したことをきっかけに、今回のアンケート調査を行った。
 例えば、新型コロナウイルスの影響に関して「どのような困り感があるか」との問いかけに対し、発達障害当事者会メンバーからは様々な回答があがったが、その中に「特性上マスクを外出先に持っていくのを忘れた時、非難されそうで怖いと感じることがつらいが、他者に伝えたとしても、そのつらさがほとんど伝わらないことがまたつらい」というものがあった。「次第に相手が期待している、もしくは共感を示してもらえると考えた回答の中からしか発言できなくなった」という思いを持つ当事者が少なからずいることがわかった。
 「ストレスで38度の熱を出し会社を何週間休む」等、多数派に納得してもらえる事実があれば良いが、発達障害者の多くには、倒れるまでストレスを自覚できない/体温が一日の内にも大きく上下する/事後に考えれば言ってはならないと理解できる言葉が口をついて出る等、自身にも分からず、他者に理解を求めるには「他者にとって理解できる説明」が必要な現象が起こる。他者の表情や意図を汲むことや、相手の気持ちへの配慮と自分の伝えたいことを両立させる言葉をその場で選択することの困難さなどの特性を持つ多くの発達障害者にとって、「他者にとって理解できる説明」を適切に行うことは難しい。
 発達障害者のひとつの大きな困難は、多数派に理解されにくく共感を得られにくいことから起こっていると考える。または、多数派は私たち発達障害者の理解できる部分(例えば、感覚過敏があること)の理解や理解可能な形での理解(例えば、背景を考慮せず「コミュニケーションが苦手」と理解する)をしているのだろうと感じている。それはおそらく私たち発達障害者が他者に対する際の態度と類似するものである(私たち発達障害者の多くも、他者を背景まで含め丁寧に理解しているとは言い難い)。しかし、私たち発達障害者は多数派と社会の中で同じスタートに立てない程度に困っていることは明らかである。
 アンケート調査により、発達障害当事者会での接点がない多くの発達障害者の思いを知ると同時に、発達障害者と関わる人々の意見を知り、私たちの感覚やそれを表す言葉が伝わりにくく理解されにくい理由や原因をまず発達障害者自身が知り、今後の啓発活動にもつなげたいと考えた。

2.調査の内容
2-1.調査の方法
 調査の方法として、発達障害当事者/発達障害当事者以外の人(自己申告)に分けてアンケートを作成し、インターネット(Google Formを利用)と用紙のどちらからも回答できるものとした。設問は発達障害当事者対象/発達障害当事者以外の人対象とも19問、2021年4月14日から7月8日までの87日間行った。

2-2.結果の概要
 発達障害当事者49名、発達障害当事者以外の人57名からの回答があった。
 発達障害当事者回答者の属性として、30代が最も多く46.9%、性別は女性49%、男性44.9%と大きな差はなく、発達障害の当事者会・自助会への参加者は51%であった。
 「まわりの人たちと話や行動が合わないと感じること」がよくある又は少しあると回答した人は89.8%であった。コミュニケーションに関して普段困っていることを尋ねた設問に対しては「伝えたいことが伝わりにくい」が最も多く全体の71.4%の人がチェックを付けた。また「自分の言葉や行動の、相手にとっての意味が、自分ですぐにはわからなかった」経験について、よくある又は少しあると回答した人は83.7%であった。
 発達障害当事者以外の回答者の属性として、立場(複数回答)は福祉関係者が最も多く49.1%であった。年齢は40代31.6%、次いで30代28.1%であり、性別は女性が61.4%とやや多かった。発達障害者との関わりの頻度は、ほぼ毎日あると回答した人が35.1%と最も多く、次いで週に1回以上の人が24.6%であった。また発達障害者との関わりの期間は10年以上が31.6%、次いで5~10年程度が21.1%であった。発達障害の当事者会・自助会について、具体的な会を知っているが参加したことはないと回答した人は49.1%、参加したことがある人は12.3%であった。
 「発達障害者と自分や周りの人たちとで話や行動がかみ合っていないと感じること」が良くある又は少しあると回答した人は全体の91.2%であり、発達障害者との関わりについて困ることは「伝えたいことが伝わりにくい」と回答した人が最も多く、54.4%の人がチェックを付けた。

2-3.特徴的な結果
 発達障害当事者/当事者以外の人双方とも、多くが互いに話や行動のかみ合わなさを感じており、「伝えたいことが伝わりにくい」という困り感をあげた人が双方とも割合として最も多く、互いに意思疎通の課題を認識していることが分かったが、困り感を持っている部分についてやや違いがあった。発達障害当事者はその他の困り事として「雑談が難しい」(61.2%)、「距離感がつかめない」(57.1%)、「疎外感がある」(57.1%)をあげた人が多かったのに対し、当事者以外の人は「『分かった』と言うが理解していない」(43.9%)、「他人の気持ちを分かろうとしない」(22.8%)が多かった。このことから、発達障害者は人の輪に入れないことを困り事としてとらえることが多く、周囲の人にとっては発達障害者が具体的に起こす事柄を困り事ととらえることが多いということが分かった。関わりについて困ることは複数回答可の設問としたが、発達障害者は7個の選択肢(「その他」を除く)に対し平均3.86個のチェックを付けていた一方、発達障害当事者以外の人は8個の選択肢に対し平均2.21個のチェックを付けていた。日常的な困りごとから複雑な心情を持つ当事者の実態があらわれたと考えられる。
 誤解されたと分かったときの気持ち(発達障害当事者)と、発達障害者が理解できない言動をとった時の気持ち(発達障害当事者以外)を尋ねた設問に対するチェック数にも差が現れ、当事者は6個の選択肢への平均チェック数3.92個、当事者以外は6個の選択肢に対し平均2.07個であった。また、この設問には当事者以外の回答として、割合として大きくはなかったが「面倒」(17.5%)、「関わりたくない」(12.3%)も見られた。人の輪に入れない当事者の困り感に対しても、相互理解の壁としても、理解の入口を閉ざされ得る可能性が見えたことは、私たち発達障害者にとって厳しい状況であると思われた。
 「発達障害者がまわりの人たちに誤解されにくくなるにはどういうことが必要だと思うか」を尋ねた設問に対しての回答について、双方とも「一般社会における発達障害理解が進むこと」が割合として最も大きくなった。「発達障害者が仕事をしやすい環境」と回答したのは発達障害当事者61.2%(2位)であったのに対して、当事者以外は45.6%(5位)であった。当事者以外の回答では「身近な人たちが発達障害者に関する知識や理解を深めること」(61.4%)「支援者のスキルアップ」(52.6%)が多かった。互いに自身の立場に目が向きがちであると思われたが、「発達障害者に対するトレーニングや教育」については、当事者40.8%に対して当事者以外は45.6%であり、(周囲(社会)ではなく)発達障害者を変えようとする周囲の力が大きいことを感じさせられた。

2-4.結果に対する当事者視点の意見
 発達障害当事者以外の人へのアンケート中の記述式の設問の回答について、発達障害当事者会のメンバーで「当事者としてつらい、苦しいと感じる/気になる回答」をピックアップした。
 エピソードを記入してもらう設問に対して「感情の抑制ができず、突発的に主観的な見方で行動、発言を行う」「自分の考えや行動について、顧みたり、変えてみようという思いや行動が見られないところ」「常識がない。」「年齢の割に、幼い。」「空気を読めない」「一方的な会話、人の話を聴かない」など、発達障害者個々人に対する感情や言動に関するイメージについての回答が見られた。背景には、「健常者」から一方的に関わりを遮断したい、具体的な関わりを持った中でやはり当事者を敬遠したいと思う感情が示唆された。
 発達障害者がまわりの人に誤解されやすい原因は、どんなところにあると思うかを尋ねた設問への回答では「自分の考えがすべて。相手の気持ちを想像したり大切にしたりしないから」「周囲の人に合わせないところ」「人の気持ちを思いやるのが、苦手なこと。」「社会性が身についていない事が一番問題」との回答が見られた。
 まず、当事者団体が実施したアンケートに対し率直な意見と思われる回答が寄せられたことには意義があったと思われる。その上で、一方的な価値観や視点で当事者の内面を断定するような回答があり、また「思っていること 感じていることなどを、言えない」「説明したり気持ちを伝えるのが苦手」「本人から言われなければ障害について分からない」「説明すること、表出することの苦手さ」「自分のことを分かってもらうための力」との回答からは、当事者が自身の障害について言葉できちんと説明したり、気持ちを伝えることがうまくできない(又は、できない人)ととらえられていることが誤解の原因になっていることが読み取れる。これは、発達障害者への設問「普段、人とのコミュニケーションについて困っていること」に「伝えたいことが伝わりにくい」との回答が多く見られた(71.4%)ことと関連している可能性がある。発達障害者自身、「自分のことを伝えることが難しい」ということに自覚はあるが、そのことが誤解の原因となっている可能性があるということに関する自覚の有無は不明である。
 また、発達障害者に関して尋ねたアンケートではあるが、当事者個人に問題があると断定していると考えられる回答があったことは、改めて今後の啓発活動の必要性を思わされるものであった。

2-5.コロナ禍に関する設問について
 本アンケートではコロナ禍に関して、発達障害当事者と発達障害当事者以外の人双方へコミュニケーションの頻度と質の変化について尋ねた。頻度について、発達障害者へは「コロナ禍前と現在で、人とのコミュニケーションの頻度に変化がありますか」、当事者以外へは「コロナ禍前と現在で、あなたと発達障害者とのコミュニケーションの頻度に変化がありますか」と、コミュニケーションをとる相手を限定するかどうかの点においてやや質の異なる設問ではあったが、結果の差は全設問中で最も大きく表れるものとなった。発達障害者の回答のうち最も多かったものは「減った」(61.2%)であったのに対し、当事者以外の回答では「特に変わらない」(68.4%)が最も多かった。
 コミュニケーションの質に関する設問では、「特に変化はない」と回答した発達障害者は全体の24.5%だったのに対して、当事者以外は70.2%であった。発達障害者の回答で多かったものは順に「制限が生じた」(46.9%)、「ストレスが増えた」(34.7%)、「不安が生じた」(28.6%)と続いており、当事者以外の人に比べ発達障害者の方が変化によるストレスを大きく受けている様子がうかがえた。

3.調査結果からの展望―すれ違いについて再考する当事者会の可能性
 すれ違いを完全に防止することを目指すのではなく、すれ違いが「起きた後に考え直せる場(再考できる場)」が必要だと考える。
 現在、「当事者会」という枠組みでの場が、発達障害者の多様なすれ違いについて再考する機会を作っている。熊本県発達障害当事者会Little bit(リルビット)(*1)での事例を挙げる。例えば、発達障害をもつ娘に対し、日常的な関わりを持つことに疲弊している保護者Rが、当事者会に解決の糸口を求めに参加されることもあった。保護者Rは、娘と同世代の当事者たちと話すことで、客観的に自分の子どもの状態を見ることができるようになり、関わり方を少し変えるような前向きな試みを図るきっかけを掴んでいる。
 また、ある発達障害者Tは、職場で起きた人間関係の問題についてホワイトボードに関係図を書きながら説明したことがある。Tは、職場で起きたすれ違いについて、ほとんど関与していない第三者の当事者たちに共有することで、問題を客観的に整理し、分析しあい、再び職場に立ち向かう原動力を得ている。
 さらに、報告者の一人である須藤は当事者会の中で、当事者スタッフメンバーとのすれ違いを把握し、それを改善するために、自ら須藤に対して改善してほしいことをスタッフメンバーに尋ね、自身の行動の背景や想いを伝えながら、どのようにしたらいいのかを共に探り合うことをした。例えば、頼まれたことで責任感を強く感じやすく希死念慮を感じるまでに追い詰められることのある須藤は、しばしば周囲の共に活動するスタッフメンバーから「須藤さんには頼むのを辞めよう」と思われることがあった。しかし、「頼むのを辞めること」は同時に「(須藤の)可能性を奪うこと」にもつながるため、双方にどうしたらいいのか何度も悩んだ。須藤としては、すべての問題は自分に内面化されたものであって、他者が悪いわけではないことを伝えた。この問題は現在も解決できたわけではないが、問題が起きているメカニズムを双方で話し合いながら、多様な角度で見ることで感情的に衝突することを避け、冷静に問題と向き合うことができるようになった。
 これらの当事者会の事例から、「多様なすれ違いについて再考する場」に必要なこととして、以下のことが考えられる。
(1)当事者本人がすれ違いの解決に前向きであること
(2)複数の第三者の視点を入れて無限大の解釈をもつこと
(3)一定の枠組み(ルール)の中で安心して話せる空間であること
(4)どうしたらいいのか(How)より先になぜなのか(Why)を突き詰めること
(5)表面的課題ではなく、問題の本質を見ようとすること

4.今後の課題
 本アンケート調査より、発達障害者と周囲の人の間に生じるすれ違いや誤解の発端のひとつは、発達障害者と周囲の人が互いに関わりを避けてしまうことであると考えられる。関わりを敬遠する気持ちは関わりを分断する仕組みから大きく生じていることは間違いないだろう。そのような仕組みは生活上のあらゆる場に存在する(私たちの生活は教育や医療その他あらゆる場面で、インクルーシブではない状態が「普通」になってしまっている(*2))。そのような状況の打開を目指すため、私たちは当事者団体として他の団体と連携し、前述のように発達障害者と周囲の人が関わる拠点となる構造化された場の設立を検討している。
 また「発達障害者とはコミュニケーションが苦手な人である」との社会に広がるイメージも、すれ違いの大きな原因になっていると考えられた。コミュニケーションは一人では成り立たないものであり相互の問題であるにもかかわらず、インターネット上には発達障害者のみに問題があるとする文章があふれており(*3)、イメージを助長していると思われる。今後発達障害当事者には、当事者主体の意義共有と当事者による発信力が必要になると思われる。この課題に対して様々な当事者主体とされる団体が模索を始めているが、特に当事者団体同士の連携に課題があると思われるため、当事者団体同士のネットワーク強化に努める必要性を感じている。この課題については論を改めたい。
 なお、本アンケート調査の分析は今後も継続して行う予定であり、本報告は中途報告であることを付け加える。最終結論は2022年はじめに公表予定である。

・本報告中のアンケートは2020 年度ファイザープログラム 心とからだのヘルスケアに関する市民活動・市民研究支援を受けて実施しました。
・また、上記支援を受け実施している「発達障害の理解困難性や誤解の原因とメカニズムを解明する当事者主体活動」の経過報告を含んでいます。
・本報告に関する研究のための調査等を行うに当たり、各研究倫理指針を参照し、個人情報の取扱等に細心の注意をはらっている。

添付資料
1.アンケート(発達障害当事者の方へ)(ワードファイルをダウンロードする)
2.アンケート(発達障害当事者以外の方へ)(ワードファイルをダウンロードする)
3.スライド:アンケート結果(一部抜粋)(パワーポイントファイルをダウンロードする)
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(*1)熊本県発達障害当事者会Little bitは熊本市を中心に毎月2回以上の定例会を開催している発達障害当事者会。2011年7月から10年以上活動している。報告者の須藤は現在共同代表理事を務めている。
(*2)例えば次のような意見からも特に日本社会は異質なものを分断しがちであることが分かる。
『障害者権利条約はあらゆる年代でのインクルーシブ教育を求めている。日本ではいくつかの学校で実践が進められているが、残念ながら現状では歴史的につくられてきた分離を基本とする教育から脱却できていない』認定NPO法人DPI日本会議「小山田圭吾氏の報道に関するDPI日本会議声明」https://www.dpi-japan.org/blog/demand/20210720seimei/(2020年8月14日閲覧)
『日本の医療施設がインクルーシブなものではないからである。日本の医療制度は、精神障害者だけを隔絶したものである』全国「精神病」者集団「COVID-19と脱施設化に関する報告」https://jngmdp.net/2021/04/20/20210420/(2020年8月14日閲覧)
(*3)いくつかの例として以下を挙げる。
『社会人として生きていくうえで必要なスキルが身についていないために問題になっている人達』一般社団法人塩筑医師会「#26 いわゆる「発達障害」」セイコーエプソン株式会社広丘事業所産業医小木曽俊,https://www.enchiku-med.jp/column/2015/01/30/1422609262432.html(2021年8月14日閲覧)
『相手の思いや気持ちを推しはかることができません。皮肉を言われてもけろっとしている一方で、相手がいやがることを平気で言ったりします。当然、対人関係にひびが入り、みんなから敬遠されることになります。しかし本人はみんなから敬遠されていることに気づかず、平気で寄って行ったりするので、ますます対人関係が困難になります』中野区医師会「医療トピックス 大人の発達障害」https://www.nakano-med.or.jp/topics/2016/10.php(2021年8月14日閲覧)


■質疑応答
※報告掲載次第、9月25日まで、本報告に対する質疑応答をここで行ないます。質問・意見ある人は2021jsds@gmail.comまでメールしてください。

①どの報告に対する質問か。
②氏名。所属等をここに記す場合はそちらも。
を記載してください。

報告者に知らせます→報告者は応答してください。いただいたものをここに貼りつけていきます(ただしハラスメントに相当すると判断される意見や質問は掲載しないことがあります)。
※質疑は基本障害学会の会員によるものとします。学会入会手続き中の人は可能です。

〈2021.9.24 会員から〉
 土屋貴志(大阪市立大学)と申します。
 アンケートへの回答をお願いした人々(調査対象者)は、どういう方たちでしょうか?

〈2021.9.25〉
 土屋貴志(大阪市立大学)と申します。昨日お送りした質問で、書き漏らしたものがありますので、補足します。
 アンケートへの回答をお願いした方々(調査対象者)は、全体として何人でしょうか?
 そのうち、発達障害当事者と、発達障害当事者以外の方は、それぞれ何人でしょうか?

 調査対象者(アンケートへの回答をお願いした方々)のうち「発達障害当事者49名、発達障害当事者以外の人57名からの回答があった」ということは、回答率は全体としては何%でしょうか?
 また、発達障害当事者と、発達障害当事者以外の方で、回答率はそれぞれ何%になるでしょうか?

〈2021.9.30 報告者から〉
土屋貴志様
 重要なご指摘をありがとうございました。また、研究の基本的な情報を落としておりましたことを痛感しております。
 アンケートは、特定非営利活動法人凸凹ライフデザイン(報告者の所属団体)を通して、障害者自立支援協議会就労部会や就業・生活支援センター、当事者団体など、協力関係団体・個人にお願いしています。不特定多数にアンケートを一斉配布したのではなく、協力いただける人に対してアンケートを依頼し、回答していただいていますので、ある意味で回答率は100%となってしまいます。
 ご指摘を参考に今後も考察を深めてまいります。ありがとうございました。

〈2021.9.25 会員から〉
かわぞえ ねむるです。

よかったてんとしてわ 1のはじめにの こうで、はったつしょうがいしゃであると されることの こんなんの つたえづらさや せつめいの しづらさお、ないじつお ひょうげんしたことの うまくつたわらなさも ふくめて、たくみに ていじが されているなと おもいました。すくなくとも とうじしゃである ほうの かわぞえからわ そうおもえました。

3の「すれ違いについて再考する当事者会の可能性」という ありかたからわ、これまでに あるとされた やりかたの わくぐみとして「とうじしゃけんきゅう」と よばれた ものの アプローチお おもいおこさせました。おなじであると いま しゅちょうするわけでわありませんが、にて ことなる、ことなったようで かつ にる ようなことお とうじしゃたちも いろいろとしてきているのかも とかんじました。

けんきゅうから きになったてんお あげます。2-3、2-4の けっかのせつめいですが、
この ていじの ありかたというか じょうほうの じゅんばんわ、なんのきなしに はっぴょうお よんだ とうじしゃが、いきなり けんじょうしゅぎてきな かんがえお あてられて ショックお うけてしまう ことが おおいのでわ ないでしょうか?

あるしゅの さべつてきな コメントや けっかすらも うけとったうえで それお ぶんせきするという けんきゅうじたいにわ すくなからず いぎお かんじますが、けんきゅうお とうじしゃもふくめた あいてえと かんげんするときに、あとすこしだけ とうじしゃお きずつけない くふうが あっても よいとおもいます。
また こういう けんきゅうお とうじしゃがするときわ、けんきゅうするがわも あんぜんに けっかお かいしゃく できるような はなしあいなどの システムが ひつようかもしれませんね。

〈2021.9.30 報告者から〉
かわぞえねむる様
 ご意見、ご質問をありがとうございます。
 当事者研究について、メンバーの中に少し関わっていた者がいましたが、最近の動きを十分に存じませんでした。比較等の必要が出てくるかもしれないとご意見を伺い気づかされました。ありがとうございます。
 結果の説明についてですが、報告に本アンケートの趣旨を記述しきれていなかったのだと分かりました。まず、このアンケートでは当事者と当事者以外の立場を(当事者と当事者以外の間には、実社会では上下関係や格差があり、当事者側も率直な思いを語る機会はほとんどないと感じていますが、本アンケート調査対象者に関しては各々個人としてフラットにとらえたいと考えています)一度フラットなものと考え、双方の率直な考えを知り、その中からすれ違いをそのままにしないために(主に当事者活動として)何をすべきかを考えていこうという目的がありました。ですので、差別的かどうかは意見が分かれるところだと思いますが、当事者の私たちが傷つくコメントが届くことは予想して行っておりました。実際私どももショックを受けたのですが、反対に、当事者団体として実施したアンケートに、当事者が傷つくかもしれない言葉を率直に書いていただけたことにはとても意義を感じたところです。
 私どもは日頃、当事者会メンバーの話からも、生活の中での明言されない排除や明確な証拠を残さない抑圧に対して、異議申し立てを行う難しさを感じています。
 普段の生活の中では「相手を傷つけてはいけない」という不文律が働き、周囲の人々の発達障害当事者に対する率直な思いが言語化されることは少ないと思います。ですので、当事者として抑圧や排除の空気を感じていても、周囲から思い過ごしと言われてしまえばそれまでになります。
 それに対し、アンケートの回答はデータとして残っていますので、これらの貴重なご意見を、どのように私たち当事者と当事者に関わる人たち、社会に対して意味づけていくかが大切だと感じています(その部分についてはまだほとんどできていないと思っています。ご意見も基に今後も努めてまいります)。こういった取り組みはいわゆる「健常者」を言われる立場から行うのははばかられることだと思いますので、私たちは当事者主体団体であるからこそ取り組むべきことだと考えています。
 以上の目的があり、今回のアンケートでは、報告を読まれた当事者の方々がショックを受けることに対する配慮よりも、周囲の人々の(表面的な優しさから当事者に配慮するからこそ普段は表面化しない)当事者に対す る率直な思いを言語化することを重視しました。
 またご意見を伺い、当事者の率直な意見を目にして傷ついたりショックを受けたりした当事者以外の人もたくさんいたかもしれないと思いました。(前述の通り、今回のアンケートについては、立場に関わらず一対一の人としてフラットに考えたいと思っています。)
 障害当事者かどうかに関わらず、傷つくことに対して報告がどのように責任を持つべきかというのは、とても難しい課題だと感じました。両立するためのかわぞえさんのご意見もお伺いしたいところです。ご指摘を受け、私どもも他の研究等を参考に理解を深めなければならないと感じております。ありがとうございました。


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